「喜捨(キシャ)」(2014,09,26)
私はいろいろな人から物をもらう。
小さなころから大きくなっても未だ、ずっと。
飴玉をあげましょう。
ガムはいかがですか。
船のおもちゃはいいでしょう。
クマのぬいぐるみは、
あなたにおあつらえ向きだ。
このコート、あなたに似合うわ。
靴を、よかったら履いてくれないか。
たくさん採れるの、ジャガイモを食べて。
大漁だったのです、鯖をもらってください。
家はいかがですか。
誰も住む人がいなくて、
管理をして欲しいのです。
どうして私に皆さんが
物をくださるのか分からなくて、
人生で一度だけ、
物をいただくのを断ってみたことがある。
すると相手は、
私が断ったことに
絶望したかのような顔をした。
私は、断るということが
こんなに罪深いことだと初めて知った。
だから、もう二度と人から
物をいただくときに断るまいと決めた。
あなたが可愛いから。
あなたが可哀想だから。
あなたは優しいから。
あなたは物を大切にするから。
あなたと分かち合いたいから。
あなたなら私の次にぜひ使って欲しいから…
様々な理由で皆さんは物をくださる。
私は「ありがとう」とそれを受け取る。
たくさんのありがたい気持ちに囲まれて、
私は生きてゆく。
慈しむような毎日を。